【熱中症の看護】重症度がわかる観察項目とは?

熱中症になる人は約41万人?

夏に近づいてくると熱中症を
よくニュースで聞きます。
実際、熱中症で救急搬送される方も多いです。
熱中症関連の診断を受けた人は6~9月で
約41万人と言われています。(平成25年)

平成25年の熱中症での入院患者数は約36,000人、
そのうちの死亡者は約600人、
その死亡者のうち65歳以上の高齢者が
約470人と死亡者数の86%を占めています。
独居の高齢者が多い大都市圏では特に発症割合が高くなっています。

重症化すると、
急性腎不全になって透析をまわす、
循環が保てなくなる・・など
命に関わるものですので
異常の早期発見、対応が肝心です。

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熱中症は症状で3度に分けられる【重症度分類&観察項目】

★1度(軽症)熱けいれん、熱失神

★2度(中等症)熱疲労 ※病院受診必要

★3度(重症)
高体温、意識障害、ショック症状、精神状態の異常など

※すぐに救急要請

★1度 意識:正常、体温:正常、皮膚:正常/ややしっとり温かい、発汗:あり

熱けいれん
・筋肉痛
・筋肉の硬直(こむら返り)
・生あくび
・大量の発汗

どうして筋肉に異常がでるのか?

発汗すると、塩分(Naなど)も失います。
ナトリウムには筋肉の収縮と弛緩を調節する働きがあります。

筋肉を収縮させる時、
筋肉細胞の外にある組織の間にあるナトリウムを
筋肉細胞内に移動させます。
そうなることで、筋肉の細胞が緊張して
筋肉が収縮します。

またナトリウムイオンは
神経伝達をスムーズにするために必要なものです。
体内のナトリウムの濃度が下がると
身体に変調がおきます。

熱失神
・めまい、失神
→見られる症状
脈拍が速くて弱い、顔面蒼白、呼吸回数↑、口唇のしびれ、など・・

脳への血流が不十分になって
運動後に起こることが多いです。

★2度 意識:正常(JCS1以上)、体温:39度まで、皮膚:冷感あり、発汗:あり

熱疲労
・頭痛
・嘔気、嘔吐
・下痢
・倦怠感

・虚脱感
・失神、気分不良
・判断力の低下
・集中力の低下   など

汗を大量にかくことにより
身体の電解質のバランスが崩れます。
上手く電解質を含んだ水分を補給(経口補水液)せずにいると
さらに重症化する危険があります。

いわゆる高張性脱水ですので
水だけを飲むと、
失われた電解質は補給できていない状態ですので
低張性脱水へとなります。

3度 意識:異常(JCS2以下)、体温:40度以上、皮膚:熱い

2度の症状も合わせて
・中枢神経症状
(意識障害JCS2以下、小脳症状、痙攣発作)
・肝、腎機能障害
・血液凝固異常

これら3つのうちどれかを含むと3度重症となり
入院加療が必要になります。

声をかけても呼びかけに反応しなかったり、
見当識障害が起こります。
小脳症状として、まっすぐ歩くことができないなどの
手足の運動障害が起こります。

熱中症の重症度別看護

★1度
・冷所での安静
・身体の表面を冷却
→頸部、腋窩、鼠径部には皮膚表面から近いところに
太い動脈があるためそこをクーリングします。
・水分、ナトリウムの経口補給

★2度
・体温管理(冷却)
・安静
・十分な水分とナトリウムの補給
→経口摂取が困難な時は点滴

★3度
・体温管理
→身体の表面からの冷却+体内冷却(冷却した輸液など)
・呼吸、循環管理
・DICの治療

暑熱環境にいた時、もしくはその後の体調不良は
すべて熱中症の可能性があります。
早期発見、早期対応で
重症化することを避けることができます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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