廃用症候群の看護のポイントとメカニズム~尿路系編~

尿路感染症になりやすい~廃用症候群看護尿路系編~

前回の消化器編でもお伝えしたように
廃用症候群が及ぼす全身への影響は下記の通りです。

◎褥瘡
◎心肺機能低下、静脈血栓症、起立性低血圧
◎肺換気能障害、誤嚥性肺炎
◎尿路感染、尿路結石
◎便秘、体重減少、食欲低下

◎筋力低下、関節拘縮、筋委縮、骨粗鬆症
◎尿量増加、電解質異常、窒素排泄亢進
◎感覚低下、知覚障害、不安と抑うつ、協調運動障害

今回は尿路系についてなぜそんなことが起こるのかなどを
お伝えしていきます。

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廃用症候群が及ぼす尿路系の影響とは?

廃用症候群とは【動かない事】でした。
動かない不動の状態が続くと
尿路感染と尿路結石の危険性を高めます。

通常、尿は重力によって腎盂から膀胱へ運ばれます。
安静臥床によって膀胱からの尿排泄が障害され
膀胱を空にすることができなくなることがあります。

寝たままの状態だと、
尿道は上向きになっているため、
腹圧をかける必要があります。

筋力があれば可能ですが
安静臥床が続いて筋力が落ちていると
さらに残尿状態になる可能性があります。

★ここで尿路の仕組みのおさらい

尿は腎臓でできます。
尿は腎臓にある腎杯(じんぱい)に集まって
腎臓の中央にある腎盂(じんう)に運ばれます。

腎盂は尿の集合場所です。集合した尿は
腎盂から尿管を通って
膀胱で貯められていきます。
おさらいは以上です。

すると、腎臓や膀胱で尿が停滞した状態になって
最近が増殖して
骨格系から排泄されたCa(カルシウム)の沈降と
凝集の時間を早めます。

また、動かないことによって骨委縮が進行すると、
骨量の減少と骨吸収の亢進によって
高Ca血症、高Ca尿症になって
尿路結石ができやすくなります。
神経因性膀胱※による残尿は結石の形成を促進させます。

※神経因性膀胱とは・・・
排尿に関わる大脳や脊髄、末梢神経が障害されたことによる
排尿障害です。通常尿が膀胱に溜まったら尿意を感じます。その刺激が大脳から膀胱や骨盤に指令がいって
排尿するか我慢するかなど決まります。その神経の通り道や大脳が障害を受けると
起こる排尿障害です。大脳が障害を受ける疾患としては
頭部外傷やパーキンソン病、認知症、脳卒中などがあります。

脊髄が障害を受ける疾患としては脊髄損傷など、
末梢神経の障害を受ける疾患としては腰椎椎間板ヘルニアなどです。
症状は頻尿や、尿失禁、排尿困難などがあります。

膀胱結石ができると、
膀胱粘膜を損傷して
細菌が繁殖しやすくなって
尿路感染を引き起こします。

尿路感染は尿のpHを上昇させて、
カルシウムやマグネシウムの沈殿化による
結石形成を促進させます。

廃用症候群の看護~尿路系編~

★全身状態の観察
(バイタルサイン、悪寒、倦怠感、食欲など)

★排尿時の状況
(疼痛の有無、排泄体位、膀胱緊満してないか、排尿回数
尿の性状、臭い、残尿感の有無、残尿がないか必要時導尿、
水分出納のバランス)

★排泄時の体位調整
坐位が無理なら頭部をギャッチアップをするなど

★陰部の清潔を保つ

★可能であれば臥床時間を減らす
→車椅子に座ったりベッドで寝ている時間を減らします。
体位変換も大切です。

今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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