意識レベルが低下する病態とは?
Alcoholism 急性アルコール中毒
Insulin インスリン(低血糖・高血糖)
Uremia 尿毒症
Endocrine 内分泌(甲状腺・副腎・電解質)
Oxygen、Overdose 低酸素血症、薬物中毒
Trauma、Temperature 外傷、体温異常
Infection 感染症
Psychiatric 精神科疾患
Syncope、Shock、Stroke てんかん、ショック、脳卒中
「覚醒」と「認知」が正常な状態です。
正常な「覚醒」とは、開眼している状態、
オーダーがしっかり行える状態です。
正常な「認知」とは、自己認識や見当識がしっかりと
保たれている状態です。
◎人
◎時
◎場所
これらが正常に認知できていないと
見当識障害ありとして、
意識障害があるということになります。
意識の中枢とは・・・
★脳幹網様体
★上行性網様体賦活系
脳幹網様体は生命維持の中枢の脳幹の真ん中にあって
脳幹延髄網様体、橋網様体、中脳網様体で構成されています。
脳幹網様体の働き
◎呼吸・心血管系の中枢
◎意識の維持・覚醒と睡眠の調整
◎運動の調節
◎知覚の調節
上行網様体賦活系の働き
脳幹網様体から神経の電気活動を
視床→視床下部→大脳半球(大脳皮質、大脳辺縁系)に送って
大脳半球に活力を与えて意識レベルを維持させます。
★意識の清明度
★意識の広がり
★意識の質
意識レベルの評価方法
★JCS(Japan Coma Scale)
★GCS(Glasgow Coma Scale)
★JCS
3-3-9度方式とも言われて、
Ⅰ~Ⅲ群のどれに当てはまるかによって
すぐに生命の危機が及んでいるかどうかを判断できます。
・命の危険性をⅠ~Ⅲと数字で表すので
重症度がわかりやすいところ
・よく使われているものなのでわかりやすい
・覚醒を開眼のみで判断するので
評価者が違うとレベルの評価に違いがでてくるところ
・異常肢位の区別がないところ
Ⅰ~Ⅲ+数字で表す。
意識が完全に清明な人はJCS0です。
Ⅰ 刺激しないで覚醒している状態
1 だいたい意識は清明だけど、なんだかはっきりしてない
例:会話は成立するけど、返答のスピードが遅かったり
なんだかぼーっとしているような、意識はクリア!と言い切れない時など
JCSⅠ-1です。
2 見当識障害がある
→「私の職業はなんですか」「今日面会に来られていた人は誰ですか?」
「今日は何月ですか?」「ここはどこですか?」など
に答えられればOK!
JCSⅠ-2です。
3 自分の名前と生年月日が言えない
本当にまったく違う人の名前を答えられる方もいました。
JCSⅠ-3です。
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠りこむ状態)
10 普通の呼びかけで容易に開眼する
例「〇〇さん、おはようございます」→開眼!
JCSⅡ-10です。
20 大きな声かゆさぶると開眼する
例「〇〇さん!(大声)(ゆさゆさ)」→開眼!
JCSⅡ-20です。
30 痛み刺激を加えつつ、呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
「〇〇さん!わかりますかー?(痛み刺激)」→うっすら開眼!
JCSⅡ-30です。
Ⅲ 刺激しても覚醒しない状態
100 痛み刺激に対して払いのける動作をする
例:手に痛み刺激→手をびゅっとひっこめる。開眼なし。
JCSⅢ-100です。
200 痛み刺激に対して少し手を動かしたり顔をしかめる
例:手に痛み刺激→ちょっと手が動いた。開眼なし。
JCSⅢ-200です。
300 痛み刺激に反応しない
例:手に痛み刺激→まったく動かない!開眼なし。
JCSⅢ-300です。
簡単に意識レベルの評価をすると
開眼があればⅠかⅡ、開眼がなければⅢです。
開眼はないけれども、足を少し動かす動作があれば、
JCSⅢ-100になります。
目は開くけど、傾眠傾向だとⅡでとります。
GCSは頭部外傷をベースにした急性期意識障害スケールです。
開眼(E)、言語(V)、運動(M)の3つの要素にわけて
合計点数で評価します。
(E)4点 +(V)5点 +(M)6点=15点が最高点。
(E)1点 +(V)1点 +(M)1点=3点が最低点。
8点以下が重症です。
運動反応(M)で左右差がある場合は良い方で評価します。
四肢麻痺などの場合は、
顔面や眼球の運動で評価するので、1点か6点かの2択になります。
・E、V、Mそれぞれが細かく点数化されているので
評価者が違っても評価の違いが出にくい
・全部評価をするのに時間がかかる
・総得点が同じでも内容が違うので全体像が把握しにくい
開眼(Eye opening)
4点 自発的に開眼する
3点 呼びかけで開眼する
2点 痛み刺激で開眼する
1点 開眼をしない
言語反応(Verbal response)
5点 見当識の保たれた会話
4点 混乱した見当識、会話
3点 不適切な言語(会話にならない)
2点 理解不能の発声のみ
1点 発声なし
T 気管挿管、気管切開=1点
運動反応(best Motor response)
6点 命令に従う
5点 痛み刺激を払いのける
4点 痛み刺激で四肢屈曲、逃避反応
3点 痛み刺激で四肢異常屈曲(除皮質硬直)※
2点 痛み刺激で四肢伸展(除脳硬直)※
1点 全く動かない
※除皮質硬直は大脳基底核と大脳皮質の障害です。
猫の手をして手首を内側に曲げて、
肘を曲げて胸の上でその両手でMを作るように
きゅっと硬直するのが除皮質硬直です。
除脳硬直は中脳、間脳の障害です。
こちらも猫の手のように軽く握って手首を内側に曲げた状態ですが
肘が伸びて伸展した形で手首が外側に向くのが
除脳硬直です。こちらの方が危険です。
意識障害の考え方としては、
A:airway(気道の開放)、B:Breathing(呼吸)、C:Circulation(循環)
が安定していなければ、
D:Dysfunction of CNS(中枢神経の障害)の評価は
信頼性に欠けます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。