【急性期脳梗塞の看護のポイント】頭蓋内圧亢進時期、自動調節能とは?

脳には自動調節能があるって知ってますか?

脳は生命の中枢がある大切な臓器です。
そんな脳の血流には一定に保たれる自動調節能があります。

脳の血流は正常の状態で
50~60ml/100g/分で
血流を維持しています。

脳の血流が途絶えると
4~10分で脳神経に障害が起こります。
脳の血流が10ml/100g/分以下になると
脳細胞は死にます。

血圧が変動しても
脳の血流が一定に保たれる機能が
脳の自動調節能です。

スポンサード リンク

例えば、まっすぐ立った状態での心拍出量が5900ml
脳には750ml
心臓には250ml
骨格筋には650mlだった場合、

その同じ人が運動した状態での心拍出量が24000mlに増えます。
心臓には1000ml
骨格筋には20850ml
になったとしても脳の血流は750mlに保たれています。
これが脳の自動調節能です。

血圧が変動しても一定にしてくれる自動調節能が破たんすると
脳血流は血圧に依存することになります。

脳の自動調節能が破たんすると・・・

★血圧が低い → 血流が滞る → 脳梗塞
★血圧が高い → 脳血流が異常に増える → 脳浮腫や脳出血

では脳の自動調節能は一回破たんしたらもう元には戻らないのか?
いえいえ、脳梗塞の部位にもよりますが
脳の自動調節能は回復します。

日数の目安

主幹動脈の脳梗塞 : 30~40日
分枝動脈の脳梗塞 : 2週間
ラクナ梗塞 : 4日
TIA : 半日
脳幹梗塞 : 100日以上かかることも・・・

脳浮腫の時期は?頭蓋内圧が亢進しやすい時期とは?抗脳浮腫療法って?

脳浮腫が一番強い時期は発症から3~5日頃です。
それは2週間程度続きます。
脳ヘルニアや後遺症を残す合併症を起こさないことが重要です。

抗脳浮腫療法とは??

血中の浸透圧を上昇させて
水分を血管内に移動させます。

利尿効果で水分を身体の外へ排泄することで
脳の浮腫を改善させて、頭蓋内圧を下げます。

【リバウンド現象に注意!】
抗脳浮腫療法にはリバウンド現象があります。
リバウンド現象とは、本来なら利尿効果を発揮させた後
すぐに薬が血中から排泄されます。

ですが、脳の組織からの排泄が遅れると、
一時的に脳組織内の利尿薬濃度が濃くなってしまい
水分が血中から脳組織に移動してしまい
脳浮腫が悪化してしまうことがあります。

観察のポイントは・・
★電解質
★脱水
★意識レベルの変化や頭蓋内圧亢進症状、バイタルサインの変化

頭蓋内圧亢進の病態と症状、看護のポイントとは?頭蓋内圧が低くなると?

頭蓋内圧の正常値は15mmHg以下です。(水銀柱)

1mmHg=約13.6mmH2O
なので水柱にすると200mmH2O以下になります。

頭蓋内圧が低いと・・・
★頭痛
★悪心
★嘔吐

頭蓋内圧が高いと・・・
★頭痛
★悪心・嘔吐
★意識障害
★クッシング現象※

※クッシング現象とは?
急激な頭蓋内圧の亢進により、
血圧上昇と徐脈がみられます。

脳血液循環が障害される
→末梢血管抵抗が上がる
→血圧が上がる
→心拍数が低下する

看護のポイント

★呼吸状態観察(呼吸数・深さ・パターン・リズム)
★頭部を15~30度に挙上する
→頭蓋内の静脈灌流を促すと頭蓋内圧が低下します。
逆に30度以上にすると脳の血流を低下させます。

★体位を整える
・首が過屈曲しないように正中位を保ちます
・ベッド上で臀部の位置があっていないズレ落ちた状態だと
腹部の圧迫や胸部の運動制限がでてきます。
胸部の運動制限がなく、腹部が圧迫されない体位に整えます。

以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

スポンサード リンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする