【看護師国家試験】解剖生理学:泌尿器まとめ

国家試験の前に解剖生理のおさらい

泌尿器は酸塩基平衡や血圧に関わりがあるので
国家試験に向けてまとめてみました。
お役に立てると幸いです。

★体液組成
★腎臓の構造
★レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系
★排尿について
★pHの調節
★腎臓疾患

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★体液組成

・成人男性の健常時の体液は体重の2/3(60%)
・体液は細胞外液45%細胞内液55%
細胞外液の内訳
(間質液20%、結合組織15%、血液の血漿7.5%、体腔液2.5%)

※血液中の血漿は血液から血球成分を除いた液体です。
水が91%、たんぱく質7%で、ほぼ水です。
血漿タンパクというと、アルブミンやグロブリンが有名です。
フィブリノーゲンもあります。

□体内の電解質
水分中には電解質
Na+,Cl-,K+,HCO3-,Ca2+などがあります。

◎細胞外液はNaCl(海)に似ています。
◎細胞は呼吸や代謝によってHCO3-などを出しています。
◎体内K+(カリウム)の90%以上が細胞内(特に骨格筋)に存在します。
→クラッシュ症候群は大きな外力が加わって、
骨格筋が壊れて細胞外に大量のKが漏れ出ることで起こります。
K+は神経細胞を興奮しやすくするので心停止につながります。

□神経細胞の環境
◎細胞の外はNa+Cl-が多く、細胞の中はK+が多いです。
主にこの3つのイオンが細胞内と細胞外で
電位差というものを作り、
細胞の興奮を調節しています。

・覚えておくと良い体液数とは?
☆全体液は体重の60%(2/3)
☆pH7.4±0.05・・・アルカリ寄りです。中性は7.0
☆生理食塩水(0.9%NaCl)は細胞外液と似ています。

体液組成を維持するために・・・

◎ホメオスタシス(恒常性)が働く
・・・体液組成を一定に保つこと
◎体液組成の調整の主役は泌尿器系
◎神経では視床下部(間脳にある)
◎物質的にはバソプレッシン(ホルモン)、
レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系が代表

★腎臓の構造

・腎臓は後腹膜器官
・肝臓があるので右腎の方が左腎より少し下
・腎臓の中の構造は
外側から腎皮質→腎髄質→腎盂
尿は腎盂→尿管→膀胱→尿道

・腎門には腎動脈、腎静脈、尿管がある
・ネフロン(腎単位)=腎小体+尿細管

腎小体・・・皮質でしか見られません
尿細管・・・原尿が再吸収されます

→腎小体
ここで原尿ができます。(たんぱく質は濾過されません)
ボウマン嚢(糸球体嚢)+糸球体(毛細血管)
糸球体濾過量(GFR)(原尿)・・・170~200L/日(約200L)

□尿細管の詳細
・原尿の70%が近位尿細管で再吸収されます。
・尿細管は近位尿細管、遠位尿細管、ヘンレループ、集合管にわかれます

近位尿細管で再吸収されるもの
☆グルコース(100%)
☆アミノ酸(100%)
☆電解質(Na+70%、K+70%、HCO3-90%)

遠位尿細管で再吸収されるもの
☆水
☆アルドステロンでNa+を吸収

ヘンレループで再吸収されるもの
☆水
☆上行脚で電解質(Na+、Cl-)再吸収
☆下行脚で水を再吸収→尿が濃縮

集合管で再吸収されるもの
☆残りわずかな水分を吸収
→バソプレッシン(ADH)が作用

□腎臓で覚える数字
・腎血流量・・・循環血液量の1/4(1~1.25L/分)
・腎血漿流量(RPF)・・・約600L/分
→糸球体に流れる血漿量

・腎血漿流量の約20%が濾過される
→原尿・・・糸球体濾過量

・糸球体濾過量(GRF)(原尿)・・・約200L、100~120ml/分
・原尿の95%が尿細管で再吸収
→70%は近位尿細管で再吸収されます
→尿量は1~2L(99%が再吸収)

★レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系

血圧を維持(上昇)させるシステムです。

肝臓からアンギオテンシノーゲン
→腎臓の輸入細動脈壁の傍糸球体細胞からレニン
→レニンがアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに換える

→肺からアンギオテンシン変換酵素(ACE)がでる
→アンギオテンシンⅠがアンギオテンシンⅡに変わる
※アンギオテンシンⅡは細動脈平滑筋(全身の動脈)を収縮させる・・血圧↑

→アンギオテンシンⅡが
→副腎皮質からアルドステロンがでる
※アルドステロンは集合管からのNa+を再吸収して
血圧を上げます=循環血液量↑→心拍出量↑末梢血管抵抗↑

バソプレッシンADH・・・視床下部で作られて
下垂体後葉で放出→遠位尿細管で作用
抗利尿作用(尿量↓)で血圧を上げる

★排尿について

・排尿中枢・・脊髄(S2~4仙髄)
・排尿反射・・橋排尿中枢(中脳)

膀胱に200~300ml程度溜まると、
膀胱内圧が上昇して
膀胱壁が伸展します。

膀胱壁が伸展すると壁の伸展受容器が刺激されて
脊髄から脳幹の排尿中枢に刺激がいきます。
そして大脳皮質を通って
脊髄(仙髄)の排尿中枢に刺激がいきます。

☆排尿時 膀胱:収縮 内・外尿道括約筋:弛緩
☆排尿時以外 膀胱:弛緩 内・外尿道括約筋:収縮

★pHの調節

・身体が酸性に傾くとアシドーシス
→アシドーシスになるとシナプス伝達が抑えられて
中枢神経の活動が抑制されます。

・身体がアルカリに傾くとアルカローシス
→アルカローシスになると中枢神経系と末梢神経系が異常に興奮
→ニューロンが普通は刺激とならない刺激にも過剰に反応してしまう

・アルカローシスとアシドーシス
アシドーシスやアルカローシスなど、
なぜ身体がアルカリ性や酸性に傾くのか
原因がわかると呼吸性か代謝性かがわかります。

呼吸が上手くいかなくなってpHの変化があるのは呼吸性です。

代謝性アシドーシスは呼吸以外の原因で
身体が酸性に傾いている状態です。

二酸化炭素は酸性ですので
アシドーシスになると呼吸を多くすることなどで
二酸化炭素を身体から出して
身体を正常な状態に近づけようという
代償機能が働きます。

糖尿病のケトアシドーシスが有名です。
ケトン体という代謝物質が身体の中に溜まって
ケトン体は酸性ですので
クスマウルの大呼吸という大きな呼吸になります。

呼吸性アルカローシス
→過呼吸などで二酸化炭素を体外へ出し過ぎた状態

★腎臓疾患の特徴

◎水分排泄ができない
◎代謝産物が排泄できない
◎代謝性アシドーシスになる
◎エリスロポエチン分泌低下による貧血

→腎性貧血

腎性貧血とは・・・
腎臓でエリスロポエチンという赤血球を造るホルモンが出ていますが
腎不全になるとこのホルモンがでなくなって、
貧血になります。

以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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