【脱水の看護・観察項目】なぜ多い高齢者の脱水、メカニズム

脱水は脳梗塞発症や重度の場合、死に至る原因にもなります

暑い季節に突入してくると
よく聞くのが高齢者の脱水です。
この時期、脱水から引き起こされる脳梗塞の患者さんも増えます。

毎年のように熱中症・脱水予防について
メディアでよく見ます。
これだけ毎年脱水予防について聞くのに
脱水になってしまう高齢者が後を絶たないのには
原因がありました。

今回は脱水時の観察項目、高齢者の脱水が起こる原因について
書いていきたいと思います。

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【喉が渇いていない】のではなく【喉がかわいているのがわからない】

喉が渇くメカニズム・体液量調節のメカニズムは
血漿浸透圧に関係があります。

発汗や下痢など、何らかの原因で体液量が不足すると
血漿浸透圧が上がります。
簡単に言うと血が濃くなったような状態です。

血液中の成分の量は変わらないのに
そこから水分がでてしまうと
濃くなるのがわかると思います。

血漿浸透圧が上昇すると、脳の間脳にある視床下部の
口喝中枢に刺激がいって飲水行動につながります。

また、視床下部の下垂体後葉からは、
バソプレッシン(抗利尿ホルモン)という
腎臓で水の再吸収を促進させるホルモン分泌します。

「水分足りないぞ」という状態の時、
この2つで体内の水分量を調節しています。

これが本来の口喝が起こるメカニズムですが、
高齢になると、
この口喝を感じる機能が老化によって
感じにくくなります。

喉が渇かなかったら
水を飲みたいとは人間思わないのではないでしょうか。

水分をとらないといけないのは分かっているけれど
トイレ回数が増えるのは嫌だと
自分で制限してしまうことがあります。

他にもある高齢者が脱水になりやすい原因

・身体の水分量が元々少ない
・利尿作用をもつ薬を内服している
・食事量が低下する
・腎機能が低下している

・身体の水分量が元々少ない
成人の身体の水分量は約60%といわれているのに対し
高齢者では身体の水分量が約50%といわれています。

筋肉は身体の中で水分を多く含んでいます。
高齢になると筋肉量も低下し、
水分の蓄えが減ってしまいます。

元々少ない水分量なので
いつもより少し汗をかいた、運動した・・など
少しの変化で脱水になりやすいです。

・利尿作用をもつ薬を内服している
年を多く重ねてくると多いのが高血圧や心不全です。
高血圧や心不全の治療で、
血圧を低くしたり、心臓に負担をかけないように
利尿を促進する薬を出されることが多いです。

そのため入ってくる水分量に対し
出ていく水分量が多くて脱水になりやすいといえます。

・食事量が低下する
高齢になると食事量が低下することが多いです。

加齢によって消化機能も衰えますし、
嚥下機能の問題で飲み込みにくい状況であったり
義歯を使用することで本来の食事のおいしさを感じにくくなったり
“老人性うつ”などの精神面の落ち込みなどで
食事量が減ります。

食事から水分や電解質を取る量が減るので
脱水になりやすいといえます。

・腎機能が低下している
臓器も消耗品のようなところがあるので、
加齢によって腎機能が低下している可能性があります。

腎臓では水分の再吸収を行っていますが
腎機能が低下すると
上手く老廃物を尿としてだすために
必要な水分量(尿)がたくさん必要になります。
そのため尿として排泄される水分量が多くなります。

【脱水・徴候がわかる方法】

◎親指の爪を押して2秒以内に白→赤へ回復しない
◎手足が冷たい
◎口腔内の渇き、唾液がでない

◎血圧が低い
◎脈が速い
◎熱がある
◎尿が減った・色が濃くなった

これらの中で2つ以上あれば脱水を疑います。

脱水の観察項目まとめ

・バイタルサイン
→脈拍は一般的に120回/分以上といわれていますが、
普段のベースの脈拍から考えると良いです。
脱水で徐脈になる場合もあります。

・意識レベル
・体位変換による血圧変動(循環血液量が低下しているかがわかる)
・口渇感の有無
・悪心・嘔吐、
・腸の蠕動音が低下していないか

・尿量、尿色、排尿回数
・便の性状、量
・IN/OUTバランス

・皮膚の乾燥の有無
・皮膚の弾力性
・脱力感などないか
・活気が低下するなど精神症状はないか
・体重の変化の有無

以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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