家族の協力が効果的!?看護師のせん妄ケアとは?

看護師ができるせん妄予防とは?


前回はせん妄と認知症の違いについて書きました。
今回は、せん妄を起こさないためにも
患者さんと関わる時間が一番長い看護師の介入は
とても大事になるので、そのことについて書いていきます。

患者さんがせん妄を起こさないために
家族も巻き込んでできるケアもあります。
高齢の患者さんが入院したら、
すぐにせん妄予防ケアを始めることが大切です。

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せん妄を起こすと考えられているもの

せん妄発生の直接因子

・身体疾患
・薬剤
・手術 など

せん妄の促進因子

・痛み
・便秘
・尿閉
・脱水
・拘束
・ドレーン類

・不安
・抑うつ
・環境の変化(入院、明るさ、騒音)
・不眠  など

看護師ができるせん妄の発生要因別看護ケアとは?

直接因子を取り除くためのケア

全身状態のバランスを保つ
★痛みのコントロール
★呼吸困難感、口喝、吐き気などにすぐに対応

病態を把握して対応する
★水分バランスの管理を行って脱水予防
★電解質バランスの把握

治療に関する介入

★薬物の確実な投与

二次的合併症の予防

★呼吸器合併症予防
★感染予防
★褥瘡予防
★早期離床

例えば患者さんが呼吸のしんどさの訴えが続いていたら
僧帽筋などの筋肉を使っていて
肩こりがあったりするので、頸部のマッサージやホットパックなどの
リラクゼーションを行ってみると良いです。

また、疼痛のある部分に対して
マッサージや温罨法などの介入は看護師にもできます。


リハビリを理学療法士さんと連携して普段のケアに取り入れてみたり
早期離床にも介入できます。
患者さんにとっていい刺激になります。
リハビリのことは、やはりリハビリ専門の人に聞くのが一番です。
どんな風に移乗したらいいかなど
知識をもらうと、患者さんのリハビリも効果的に行えます。

促進因子を取り除くためのケア

環境の調整
★室温や温度の調整
★照明の調整

→日中は自然光を取り入れて、夜間は照明をおとす

★音の調整
→アラーム音、医療者間の会話や足音などの騒音の除去

★感覚遮断を最小限にする
→眼鏡や補聴器の使用
→自宅で使用していたカレンダーや時計の設置
→日付や時間を定期的に伝える

★可能な限りでプライバシーを確保する

活動と休息のバランスを整える
★日中の活動量を増やして不動化を防ぐ
→日中の覚醒の促し、活動範囲を拡大
→不必要なルート類の早期抜去

◎夜間の睡眠がとれるように配慮して、必要時は眠剤の調整
患者さんは見かけ以上に不眠の状態であることを認識しておきましょう!

やはり、看護師として働いていると、
入院環境が当たり前になってきて
入院してきた患者さんにとって普段の生活では聞こえない音や声への配慮や、
1日の流れを感じてもらう配慮を忘れがちです。

入院環境で普段の生活と同じように・・とは
難しい事の方が多いですが、可能な限り近づけることが
せん妄予防には効果ありです。

現状認知の促進

★時間や場所、治療に関する情報の提供する
→患者さんが入院してきたら
1患者1時計のような感じで設置してもいいと思います。

★患者が理解できる質問と説明をする
→抽象的な言葉や専門用語を用いず、患者さんがわかる言葉で説明
→一度に多くの質問をしない

★ラジオやテレビ、新聞などを設置し、
外界とのつながりを持てるようにする

★家族の協力を得る

患者さんにとって最も身近で日常的な存在は家族です。
家族の協力を得ることができない患者さんもいらっしゃいますが、
協力を得ることができるならどんどん家族を巻き込んでいきます。

面会に来ている時は、
子どもや孫のことなど現実的な話をしてもらうなど
現実的な話をしてもらいます。

また、家族写真や思い出の写真を持ってきてもらったり、
患者さん本人が大事にしているものを
持ってきてもらったりすることで、
患者さん本来の“自分”を保つことができます。

家族写真は一人で入院している患者さんにとって
自分は一人ではないということを思い出して不安を緩和できたり、
家族写真から、
看護師が「これは誰ですか?」「これはどこで撮った写真ですか?」
など、話を広げることもできます。

家族写真やペットの写真などを
患者さんの目に見えるところに貼ると良いです。

せん妄が発症してしまったら・・・

明確で簡潔なコミュニケーション

★看護師、他の医療者、家族それぞれが患者に会うたびに
自分の名前を伝える

→まず話す前にこれから私が話しますよ!と
看護師の存在を認識してもらってから話すと良いです。
例えば、患者さんに声をかける時に
大きめのジェスチャーで手を振ってみたりいかがでしょうか。

★患者の言動を強く否定しない
★繰り返し現状について説明する
★家族に繰り返し現状を説明してもらう

第三者の医療者が説明するよりも、
身近な存在である家族が説明する方が
患者さんとしては現状を受け入れやすいです。
家族の協力を得れる環境であれば
どんどん家族を巻き込んでいくことがせん妄ケアには大切です。

鎮静を図る


せん妄によって、安静度が守れない・治療が継続できない
という場合には医師に相談し、鎮静を考えてもらいます。
鎮静剤が始まったら、
過鎮静になっていないかの観察が必要です。

せん妄ケアは早期介入が大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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