看護師が知っておくべきせん妄と認知症の違いとは?

増える高齢者の入院、せん妄と認知症の違いとは?


突然家族が入院することになって、
あんなにしっかりしていたおばあちゃんなのに、
突然認知症になっちゃったな・・と
感じたことがある方、もしかしたらそれはせん妄かもしれません。

日本の高齢者の数はどんどん増えていっています。
核家族化がすすんでいますし、
独居で生活している高齢者は増えています。

独居で生活できると言う事は、
誰かの助けを借りながらも、
なんとか自分で生活ができていたということです。

高齢になってくると、
臓器も消耗品のようなところがありますので、
ガタがくるということがあります。

そして、入院せざるを得ない状況になってくるのですが、
入院をするとせん妄を起こす方がいらっしゃいます。
せん妄と認知症は違います。

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せん妄について知ろう

せん妄は意識障害です。
せん妄を起こすと予後が悪いといわれています。

せん妄による悪い影響


★入院期間が長くなる
★死亡率があがる
★医療費が増す
★長期的な認知機能が低下する
→QOL(生活の質)が低下

★事故がおこりやすくなる
→点滴のトラブルや転倒・転落
★看護師の疲れがでてくる など

患者さんや、患者さんの家族、
医療者にとっても影響があります。
特に認知症をもっていたりすると、
さらにせん妄のリスクは増えてきます。

せん妄と認知症は違います。

せん妄は可逆性で、数日から数週間で発症すると言われています。
認知症は数カ月から数年かけて発症します。
認知症の場合、意識ははっきりしていて、
日内変動はありません。
せん妄の患者さんには昼夜逆転が多く見られます。

せん妄の定義とは・・

意識・注意・認知・知覚の障害があって
短期間のうちに出現し、1日のうちに変動する傾向がある

せん妄発生のメカニズムとは?


せん妄を発生すると考えられる3つのこと
1.低酸素
低酸素状態により代謝が撹乱
→脳の代謝が変化する
→神経伝達物質の統合や、出る量が減る
→神経伝達物質のバランス異常
→せん妄

2.薬剤
薬剤使用
→神経伝達物質のバランス異常
→せん妄

3.炎症
炎症がおきる
→脳のサイトカインレベルが上昇
→神経伝達物質のバランス異常
→せん妄

せん妄は自律神経のバランスがとれていない状態です。
交感神経と副交感神経のバランスがとれていません。
なので、せん妄ケアは自律神経ケアと言えます。

ここで大事なのが
不穏=せん妄
ではないということです。
せん妄の症状の中心は「注意力の障害」です。

せん妄の3つのタイプ


◎活発型せん妄
◎低活動型せん妄
◎混合型せん妄

◎活発型せん妄
幻覚、錯覚、妄想、焦燥、興奮などの
精神症状・行動異常が見られます。
薬剤による影響が多いです。

◎低活動型せん妄
傾眠傾向、反応の低下、無関心、無気力
が見られます。
うつ病や認知症と誤診されやすい傾向があります。

◎混合型せん妄
活発型せん妄と低活発型せん妄を
1日のうちに反復発症します。
昼間は傾眠傾向、夜は興奮状態になることが多いです。

せん妄のリスク因子とは?

1.認知症・高齢者
2.痛みがある・身体拘束されている
3.アルコールをよく飲んでいた
4.感染症
5.昏睡状態
6.ベンゾジアゼピン系の薬剤使用

せん妄を起こしやすい薬剤とは?


★抗コリン作動薬
★ドーパミン作動薬
★三環系の抗うつ剤
★ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・眠剤
などがいわれています。

入院されてから、夜間の良眠を得るために
ベンゾジアゼピン系の眠剤を内服してもらったところ、
活発型せん妄の状態になって
興奮してつじつまの合わない話をされた経験があります。

その患者さんは、その眠剤内服をやめると、
夜間のせん妄が出現しなくなりました。

入院してきた患者さんの
以前から内服している薬を確認する時や、
新しく内服する薬を確認する時に、こういう視点も持つと、
せん妄をおこすリスクが高いなと
アセスメントもできるので便利です。

次回は看護師ができるせん妄ケアについて書いていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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