看護師の熱発患者に行う効果的なクーリングとは?

発熱することのメリットとは?

1.病原体の増殖速度が減少する
細菌やウイルスは熱に弱いからです。
2.免疫が活性化する
発熱は白血球やリンパ球がリンパ節に入ることを助けるからです。
→T細胞(免疫細胞)が増える+活性化で免疫が促進!

前回お伝えした体温・発熱の仕組みと合わせてご覧ください。

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発熱は良いところもあるけれど、身体に変化が・・

◎代謝量が増える
1℃体温が上がると、
代謝は7~13%亢進します。
代謝が亢進すると、さらに体温が上がります。

◎呼吸が増える
代謝が亢進すると、細胞の酸素消費量が増えます。
細胞が使う酸素の量が増えると、
その分二酸化炭素も増えますので、
呼吸回数が増えます。

◎循環器系にも変化
体温が1℃上がると、
心拍数は8~12回/分増えて、
発汗や不感蒸泄が増えます。
水分摂取が減ることによって
脱水になります。

◎タンパク質をエネルギーとして使うようになる
高い熱が続くと、
たんぱく質を利用してエネルギーを作ろうとします。

高い熱にうなされて、
食欲不振になって、たんぱく質が補給されないと
身体のたんぱく質を分解するので、
身体の消耗が促進されます。

解熱方法は?


1.発熱物質の除去
2.解熱剤によりセットポイントを下げる
3.気化熱の利用

※表面の水分が体温を奪って蒸発すること
4.対流・伝導による冷却
※対流は空気や液体の流れ、伝導は物を通して温度が伝わること

クーリングが有効な場合とは?


温度中枢の障害が原因で高体温になっている場合は
セットポイント(目標体温)が上がって発熱しているわけではなく
熱放散が間に合っていない状態なので有効です。

あと、うつ熱(身体に熱がこもった状態)の時も
熱放散が間に合っていない状況なので
有効だといえます。
高齢者の場合、まずは掛物の調節などから
行うと良いと思います。

身体の目標体温が高い時にクーリングを行っても
その目標に向けて体温を上げようとしていくので
代謝がさらに亢進して疲労が増加します。

クーリングはセットポイントを下げる効果はないので、
これから熱がもっと上がろうとしている時に
クーリングをしても疲労が増すだけです。

セットポイントを下げるには

①発熱の原因を除去する
②解熱剤を使う

これらの方法を使って、
身体の目標体温が下がってきた時に
クーリングを行うと熱放散が促されて
そのクーリングは有効だといえます。

よく後頭部にクーリングを行うことがありますが、
冷罨法を快適と思わない人にとっては
望ましくないです。

3点クーリング(頸部・腋窩・鼠径)は
太い動脈が体表に近いところにあるので
発熱時にされることが多いですが、
意識がある人にとっては
冷蔵庫の中にいるような拷問に近いものに感じます。

その時にもしシバリングが起きたら、
シバリングは代謝熱産生を約2倍に増加させますし、
酸素消費量も2~3倍、最大5倍に増加します。

また感染症患者を対象に行った冷却効果の実験では、
有効性が認められなかったというデータもあります。
ただ、快適性という「安楽目的」では
有効だという結果もあります。

要するに、熱放散が間に合っていない状態の時
クーリングは有効だといえます。
熱放散が間に合っていない例としては
熱中症が有名です。

患者さんが希望されてするクーリングは
その患者さんにとって安楽で、必要なものだと思いますが、
安易に体温が何度だからクーリングをするのではなく、
★なぜ発熱しているのか
というところを考えて行っていきたいものです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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