発熱したらとりあえずクーリング?
患者さんが発熱したら、まずクーリング!氷枕!!と
患者さんの身体を冷やそうとクーリングを行っていませんか?
そのクーリングに意味はあるのでしょうか。
まず今回は体温とはなんぞやからお伝えします。
人間の体温とは?
体温とは体内で産生された熱と身体からの放散された熱の差。
人間の体温は常にほぼ一定にコントロールされています。
体温は2つに分かれます。
◎核心温 → 身体の内部の温度
◎外殻温 → 身体表面の環境の温度の影響を受けて変化する核心温を守る働き
1.大脳皮質
2.視床下部
1の大脳皮質は行動性調節を行っていて、
暑かったらうちわをあおいだり、
寒かったら服をもう1枚着たりする行動で
体温を調節しようとするところです。
2の視床下部には体温調節中枢があって
自律性調節を行っていて
熱の産生と放散を調節して体温を一定の幅に保とうとしています。
熱が上がってくるなと感じる震えってありますよね。
実はその震えが実際に起こる前に、
人間は内分泌のホルモンを調節して熱を上げようとしていました。
ホルモンを調節して熱が上がらなければ
骨格筋を震えさせて熱を上げよう!となります。
流れとしては
温度受容器が温度変化に気づく
→視床下部が情報を整理
→温度の情報とセットポイントを比較
※セットポイント=体温中枢が設定した目標体温
→交感神経を刺激してアドレナリンや甲状腺ホルモン分泌促進
→基礎代謝があがって熱が生まれる
この流れをしても、
セットポイントに到達できなければ、
骨格筋が震えて熱を生み出そうとします。
熱を下げる放散は、
乾性放散と湿性放散があって、
熱が上がると末梢血管が拡張して皮膚の血流が増加することで
皮膚の血流が環境の温度で冷やされて核心温が低下する仕組みです。
簡単にいうと、
熱が上がって血流増やしたけど、下がらないな。
よし汗をだそう!という流れです。
1.科学的刺激
2.精神的刺激
1の科学的刺激はウイルスや細菌、
腫瘍や炎症をおこしている細胞、壊れた細胞などによるものです。
それらが現れると、単球やマクロファージと呼ばれる
敵を食べてくれる白血球が頑張ります。
その敵に勝つために、熱を出す物質を出します。
その熱を出す物質は血流にのって
第三脳室というところにいって
プロスタグランジンE2が産生されます。
そうすると体温中枢が目標体温の設定を上げていきます。
よく飲まれているアセトアミノフェンなどのNSAIDSと呼ばれる
消炎鎮痛解熱剤はこのプロスタグランジンE2を作るのを
抑えています。
2の精神的刺激は神経症やヒステリーなどの異常な興奮によって
体温中枢が刺激されて起こります。
体温とはなんぞやという説明は以上です。
次回はクーリングについて考えます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。