看護師ができる患者の誤嚥性肺炎予防法とは?

高齢者の誤嚥性肺炎は多い!

死亡原因疾患の第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、
第3位が脳血管疾患、第4位が肺炎となっていますが、
85歳を過ぎたあたりから肺炎の順位は第3位に上昇し、
さらに、90歳を超えると、肺炎は死亡原因の第2位に上昇します。

85歳ぐらいの高齢者はたくさん入院してこられます。
最近病院でも90代の人が増えてきたように思います。
中には100歳という方もいらっしゃったり、
本当に長寿大国だなと感じることがあります。

誤嚥性肺炎という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
多くの誤嚥性肺炎は寝ている時に起こります。
夜寝ている時に唾液や、鼻・のどなどの分泌物を
誤嚥してしまうことで肺炎になってしまいます。

人間の大事な衣・食・住の「食」の部分で
本来気管に入るはずの物が誤って食道に入ってしまうことで
炎症を起こして肺炎になることもあります。

食事で誤嚥性肺炎を起こすことはまれと言われていますが、
入院中の患者さんがむせて吸引したら
気管からたくさん引けたなんてこともありました。

まずは嚥下の流れのおさらい


1.食べ物の認識(先行期)
2.口へ食べ物を取り込む
3.噛んでと飲み込みやすい形をつくる(準備期)
4.舌の根本・のど(咽頭)への送り込み(口腔期)
5.のど(咽頭)を超えて食道への送り込み(咽頭期)
6.食道通過(食道期)

先行期は「食べ物だ!」とまず認識することから始まります。
認知症のある患者さんや意識障害のある患者さんは
この段階から難しい場合があります。

準備期は舌や、ほほを使って、噛んで唾液と混ぜ合わせて
飲み込みやすくしていきます。
噛むことは舌や顎を動かせない、歯に異常があると
難しいです。

口腔期は舌を使って、のどの奥に食べ物を運びます。
一度唾液を飲み込んでみてもらうとわかりやすいのですが、
舌の先が上顎について、舌が後ろに持ち上がって
食べ物を押し込みます。

咽頭期は食べ物が咽頭にくると、
反射が起こってのどぼとけが上に挙がって、
喉頭蓋という気管をふさぐフタが
気管の入り口をふさいで、
食べ物が気管に入らないようにしています。

食道期は食べ物が胃へ送られます。

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高齢者が誤嚥を起こしやすい理由


◎歯がないもしくは少ない
◎舌の運動機能が低下
◎嚙む力が低下
◎唾液が減る

◎口の中の感覚が鈍くなる
◎のどの奥に送り込む力が低下
◎のどぼとけの位置が下がっている

◎飲み込む筋力が弱くなる
◎嚥下障害を起こす疾患をもっている
◎気管に入った時の嚥下反射・咳嗽反射が弱くなる
◎気管の粘液線毛運動(異物を外に出す運動)が低下 など
ざっとあげてもこれだけの理由があります。

誤嚥性肺炎を予防するには?


★頭を少し上げておく(就寝時)
★口腔ケア、歯科治療
★嚥下訓練
★脱水予防
★食事時のポジショニング

予防は誤嚥をしても起こさないようにするケアと、
誤嚥をしにくくする関わりが必要です。

食事前の嚥下体操や、アイスマッサージを行うと覚醒の促しや、
さぁ今から食事をするという生活のリズムがつけるのにいいですし、
唾液分泌が促進されて誤嚥防止になります。
食事に集中できる環境を作ったりすることも大切です。

食事の姿勢のポイント【理想の姿勢は少し前傾姿勢】

◎両足はしっかり床についている
◎あごは引き気味
◎身体が左右に傾いていない。まっすぐ
◎身体とテーブルの間に握りこぶし1つぐらいのすきま
◎膝が90度に曲がる(座る場合)
◎テーブルの高さが腕をのせて肘が90度になる高さ
◎ベッド上だと背もたれ60度ぐらい(個人差あり)

加齢によって様々な機能が低下するのは
避けられないので、
こちらができることで肺炎を予防できたらいいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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